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院長コラム

Vol.130 車中泊を体験してみました

 熊本地震の医療支援には私の病院からも看護師が一名参加しました。本震から一週間後だったため急性期医療よりも、隔離施設の維持運営、感染症の流行を防ぐために清潔区域を確立するなどの避難所の環境整備が主な仕事で、慢性疾患のある人や薬がない人の巡回診療にも従事し、貴重な体験ができたという報告を受けました。東日本大震災同様に、必要な人や物を必要な場所に配置することの難しさは今回も見られたようです。

 私は、平成16年の中越地震では、発生から2日目の夜に現地入りし、町役場で夜間診療をして、翌日からは大きな小学校の避難所の保健室に詰めて巡回診療を行いました。エコノミークラス症候群(足の静脈に血栓ができ、それが肺に飛んで呼吸循環器系が傷害されて、最悪の場合死亡する病態)で車中泊の人が死亡したので、避難所でも予防のために水分補給を勧めてまわり、皆でラジオ体操をしたことを思い出します。私が訪れた地域では、今回ほど余震が多くなかったせいか車中泊をする人は目立ちませんでした。

 エコノミークラス症候群は車中泊以外でも起こりますが、車の中で寝る時に気をつけることは、長時間にわたって足を下げた姿勢を取り続けないことです。運転席や助手席に座ってシートを倒す姿勢で眠るのは絶対に避けるべきです。

 いざというときのために、自分の車では眠ることができるかを確認する価値があると考え、大型連休に小学三年生の息子と自宅のカーポートで実行してみました。愛車の後部座席を前方に倒すと、大人二人が横になれる平面ができます。そこに銀色の断熱シートを二枚重ね、後部座席のヘッドレストを外して枕代わりにし、水筒と小さなライトを持ち込み準備完了。寝袋に入って眠りましたが、午前0時過ぎに雨音で目が覚めました。雨音はショパンの調べではなく、かなり大きく響きます。少し暑いくらいだったので、まだ蚊はいないだろうと少し窓を開けていると、蚊の羽音がして、痒さと鬱陶しさで眠れず、息子も起き出します。午前2時には新聞屋さんが来てびっくり。「かゆい、かゆい」と「今何時?」という息子の悲鳴と質問で、結局朝まで眠れませんでした。床の硬さで腰も痛くなり、朝には二人ともぐったり。被災地の人は毎日こんな経験をしているのだと思うと、文句は言えません。避難訓練をバカにする人がいますが、実際にやってみないとわからないことはたくさんあります。蚊対策と床の環境改善が課題になったと前向きに捉え、再挑戦します。車の買い替えの際には、車中泊のやりやすさも基準にしようと思います。

院長 笹壁弘嗣

新庄朝日第789号 平成28年5月15日(日) 掲載

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